デュアルコア発電機の製作
Published by mabo under 01. 手作り風力発電 on 20:59今まで自作したエアギャップ発電機は、発電した電気の電圧がバッテリー電圧以上に達しなければ、充電される事はありませんでした
風も弱く風車の回転も上がらず、風車で発電した電圧が仮に8V程度だった場合、当然バッテリーへの充電はありません
12.6V(バッテリー満充電電圧)以下の発電電圧ではいくら発電したところで、バッテリーに溜めて使う事は出来ないわけです
※蓄電池を6Vバッテリーや充電式電池など、充電電圧を下げて使用すれば問題なく充電されます
私の住むところは、残念ながら年間を通して風力発電に適した風が吹いている地域ではありません
また、強い風が吹く季節ではあっても、自然の風は本当に気まぐれ
吹いたり、やんだり、西風かと思えば西北西の風、やんだと思ったら一瞬だけ東風と、風車の方向がめまぐるしく変ります
『風車は廻れど発電せず』 なんて事もしばしば
左のグラフは風力発電1号機に使っている発電機の性能テスト結果です
1倍圧全波整流の場合、300rpm以上にならないとバッテリーには充電されません
そこで、倍電圧整流回路を通す事で、100rpmから充電は可能となります
しかし、900rpmのところを見るとわかるように
せっかく良い風が吹いて風車の回転が上がったとしても、倍電圧整流にした事で充電電流は半分になってしまいました
一番良い風が吹いている時に、充電効率が半分では勿体無い話です
今まで捨ててしまったこの電気を、何とかモノに出来ないか!と考え、たどり着いたのがこのデュアルコア発電機の製作でした
考え方としては、発電した電圧が仮に8Vであっても、2つの発電機を直列に繋ぐ事で
8V+8V=16V
となり、12Vバッテリーに充電出来る電圧まで上げる事が可能になります
つまり発電機自体を、蓄電池のように考えるわけですね
≪デュアルコア発電機仕様≫
●ステータ
ステータ板 4mmシナベニヤ
φ0.45mmホルマル線132回巻9極3相
同じものを2枚
●ローター
φ110mm×t2mm鋼板 3枚
(2枚目は両面を使う)
φ15×t5ネオジム磁石を12個×4組
合計48個
★ 完成したデュアルコア発電機
エアギャップは6mmに設定
(ステータ2枚という事でギャップにゆとりを持たせました)
※エアギャップとは、向かい合ったローターの間隔の事を言います(なかには、磁石とコイルの隙間と解釈している人もいるようですが・・・) このデュアルコア発電機のエアギャップは6mm、つまりネオジム磁石とネオジム磁石の間隔が6mmという事です 発電機は、エアギャップが少なければ少ないほど、大きな電気を生み出す事が出来ます また、コイルの巻き数も多ければ多いほど、大きな電気を生み出す事が出来ます しかし、コイルを沢山巻けばステータの厚みは厚くなり、結果エアギャップは広くなってしまいます 巻いたコイルをステータ板に固定する時も、“でこぼこ”しないように固定しなければいけません この辺がとても難しいところですね! 私は、エアギャップの調整用にアルミのワッシャーを自作しました アルミワッシャーの板厚は 0.5/1.0/1.5/2.0/3.0mmの各サイズ 適当な大きさにカット(端きれ)したアルミ平板の中心に、φ12mmドリルで穴をあけ、数枚まとめて外形を旋盤で削れば終了です 両面を厚めの板で挟み込むことで、0.2~0.3mmのアルミ板でも加工できます |
≪ 整流回路 ≫
今回のデュアルコア発電機には、2倍圧全波整流回路をデュアルで使います
また、発電機性能テストや風車設置稼動後でも、発電機のテストが出来るよう手動の切り替えスイッチを付けました
電解コンデンサーは
50V/1000μF
整流用ダイオードは
600V/3Aのシリコンダイオードです
右側のスナップスイッチは、2つの発電機を並列接続と直列接続の切り替えを行います
回路図はこれ ⇒
単純なスイッチの切り替えですが、同時に2個のスナップスイッチを切り替える事で、並列と直列の切り替えが出来ます
≪ 発電機性能テスト ≫
デュアルコア発電機の性能テスト結果です
実際に使う時と同じように、12Vバッテリーと接続した時の充電電流を表しています
このテスト結果から解る事は
【プラス要素】
1.Gen-1とGen-2のバラツキは殆ど無く、バランスは良好!
2.並列接続・直列接続の回路切り替えは成功!
3.1500rpmまで異音も無く、問題なく充電が可能
4.直列接続では70rpmから、並列では120rpmから充電を開始
【マイナス要素】
1.風力発電1号機の120%アップのはずが、発電機単体では思惑通りに上がらない
2.並列・直列接続の切り替え回転数(200rpm)が低すぎる
【いったい、なぜ?】
発電機単体のパワー不足は、何が原因なのでしょう?
<風力発電1号機との違いは>
・ コイルの巻き数 120回 ⇒ 132回
・ エアギャップ 6.5mm ⇒ 6mmへ
・ ネオジム磁石 φ17.5×t5 ⇒ φ15×t5へ
φ15×t5 320mt(磁束密度) 3.355kgf(吸着力)
φ17.5×t5 290mt(磁束密度) 4.303kgf(吸着力)
専門家のお話では、磁束密度の高い方がより大きい電気を作る事が出来るそうです
この事から、今回も迷わずφ15×t5を選択しました
そういえば、以前この辺りの事を調べていた時に、磁束密度より吸着力の強いほうがより大きい電気を生み出すような記事があって、考え悩んでいました
でも、それだけではないのかも知れません
いづれにしても、まだまだ勉強が足りないようです
【デュアルコア発電機の接続方法について】
風車の回転数か電圧を拾って、自動切換えをする予定でしたが、残念ながら自動切り替えにするほどのメリットは感じられません
しかし、直列接続であれば70rpmからバッテリーに電気が流れ込みます
風のあまり吹かない季節には手動で切り替え、少しでも回収出来そうです
≪ 風力発電4号機-完成イメージ ≫
あの飛行艇を開発した、グローバルエナジー社のダウンウインド型が理想形です・・・
★ポイントは!
① 翼面積を大きく、逆テーパ翼 ⇒ 高トルク・最適な回転数・風きり音をなくす
② ブレード先端を内側に曲げる(ウイングレット)⇒ 翼端失速を回避・軸トルクを高める
③ 5枚翼(少しだけ多翼・奇数枚数)⇒ 3枚翼より起動性が良く、共振しにくい
④ ダウンウインド ⇒ ブレードが支柱の後ろ側になる為、風向に対応しやすく安全
などなど、良い事尽くめ
≪ 発電機カバー ≫
<mabofarm>お得意の『アルミ片手鍋』と、18cm深型ステンレスボールです
垂直軸も、いままでどうりのBOX型としました
アルミ鍋は、取っ手部分を切断し、ヨー軸BOXの大きさにサンダーで大まかに削り落とし、後は手仕上げ
少しずつ『やすり』で削りながら仕上げました
今回の風力発電4号機は、ダウンウインド型なので、ノーズコーンにも気を使います
100均の深型ステンレスボールを底面が球体になるよう、プラハンで叩いて形を整えました
これで、風の抵抗も少なくなるでしょう
まだマスキングテープで仮固定していますが、良い感じに仕上がりそうです
≪ エアギャップ5.5mm ≫
前回の発電機性能テストに少し不満が残り、エアギャップを6.0mmから5.5mmに≪再調整≫をしてみました
グラフは、デュアルコア並列接続と発電機単体で、エアギャップ
6mmと5.5mmでの比較です
6mmのギャップは、前回テスト時のものです
その差、僅か0.5mmですが、結果は見ての通り
前回より約20%の出力アップとなりました
調子に乗って、あと0.5mm!
とも思いましたが、発電機の耐久性を考え、今回はここまで(現ステータ厚4.5mm)
やはり、エアギャップをもう少しつめる為にも、ステータの仕上がり精度を上げなければいけませんね
(※ 直列接続のテストもしてみましたが、低速回転ではたいした変化も無く、データは残していません)
≪ 新しいブレード ≫
ブレードの材質は、今回も塩ビ管を使います
いつものように、型紙を作り、φ125mmライト管(塩ビ管)からブレードの素を切り出します
イメージ作りのため、同じ大きさでMDF板も加工してみました
今回のブレード最大の特徴でもあるウイングレットは、45度です
平らなMDF板に対して、Rのキツイ塩ビ管は思った以上に小さく見えますね
今回のブレードは、先端のウイングレットを加工しなければなりません
ばらつかないよう 専用冶具を製作して形を仕上げました
※ブレード作成の詳細については、別タイトルにて掲載しています
で、まだ仮組みですが、こんな感じになりました ⇒
発電機(鍋)とブレード取り付け台座の間には、風を巻き込んで失速しないよう、アルミリング(廃材で冷却用ファン用のフレーム)を付けました
ブレードのバランスを取り、綺麗にペイントしたら
風力発電4号機完成です!
このデュアルコア風力発電機は、風速1m以下からでも12Vバッテリーへの充電を開始します
充電テストの様子は youtube投稿動画を御覧ください